2011年7月15日金曜日

これからのエネルギー政策

今回はちょっと専門外のことを書きたいと思います。

昨日は私の出身高校である修猷館高校の東京同窓会で毎月開催されている「二木会」が開催されましたが、講演内容「今後のエネルギー政策」というテーマをJFEスチールにお勤めの先輩が講師をされて解説を受けました。
経産省や東電の方の講演だと偏向的な解説になる可能性がありますが、若干エネルギー政策に絡んでおられる第三者的な方の解説でしたので、非常に客観的かつ的確な解説を聞くことができました。

記憶に残ったことを以下に記したいと思います。

①原子力発電所について

日本の発電における原子力の依存度は約30%。
戦後に他の火力、水力等も含めたエネルギー政策を打っていく中で当然色々な発電方法が検討されたが、1970年代のオイルショックなど火力一辺倒でいくことの限界と、経済成長による電力供給量の増加待ったなしという状況は原子力発電を推奨する結果となった。

今回の福島第一原発の事故を受けて、代替方法と供給量の確保を検討していかなければならない、というのは日本国民全員の総意である。

しかしこれを一朝一夕にどうにかなる、というような簡単な問題ではない、コスト面(電気料金に上乗せされるようなことになれば、生産の海外流出や国民生活への負担増という結果も招く)や安定供給(自然エネルギーは安定供給という点から課題山積)という問題をクリアしていかなければならない。

ちなみに、現在の原子力発電所が担っている発電量を全て火力にスイッチした場合、追加となる化石燃料のコスト増加額は年間3兆円、、、国民一人当たり3万円前後の負担増加、この数字は重たい。

原発のウェイトを低める、またはフェードアウトさせる、これは将来的な結論であっても、これにあたって、主観的、感情的議論ではなく、現在の国民生活への犠牲とバランスを保ちながら、冷静に客観的に国民全てが考えなければならない問題である。

②節電について

「一家庭が使用する電力なんてたかが知れている、一番電気使うのは工場とかでしょ?」と家の中で従来通りクーラーガンガン、照明煌々と電力を使用している家庭もあるようだが、とんでもないこと。
消費電力に占める各セグメントの割合は、以下の通り。

●一般家庭 およそ24%
●業務(小売店、鉄道事業、オフィス、飲食・ホテル等) およそ43%
●産業(工場関係) およそ33%

ちなみにオイルショック当時の1973年は「産業」のセグメントが65%であったが、生産拠点の海外移転という直接減少要因と、一般家庭や業務における各種新電化製品登場(例えばビデオ、DVD、電気給湯器など)やエアコン、冷蔵庫の増加という相対的減少要因により、産業のウェイトが過去に比較して減少している。

従って、現在の電力使用量を鑑みると、一般家庭での節電効果は非常にインパクトが大きい。

他人事と思わずに一人一人が節電に取り組むことにより、電力の供給のパンクを抑えることができる。

③電力供給における今後の課題

(今年1年の短期的課題)
●  ピークシフト:日中の14時前後という最大電力使用時間帯を以下に他の時間帯にシフトしていくか、ということについて、電力の恩恵に預かっている各自が考えていかなければならない。
● 短期的な電力確保という意味では、次の発電はやむを得ず増稼働せざるを得ない。
  ★原子力:点検中・稼働中の低リスクの原発を稼働させないと、この夏は国民の体が先に参ってしまいそう。
  ★火力: すぐにでも増稼働できる方法ではあるが、高コストという問題とCO2の排出という、非常に重たい問題があり、ただ今年はそんなことは言っていられない。火力も増稼働しないと国民が先に倒れる。

(中長期的課題)
 原子力のリスクの顕在により、次のテーマを解決していかなければならない。
● 現在の原子力発電所の電力供給能力という観点からの位置付け
● 将来における原子力依存方針の再構築、見直し
● 再生可能エネルギーのコストダウン、技術開発
(現在、太陽光、風力、地熱、小型水力があるが、安定供給源としては課題山積。これらの供給方法についてR&Dを官民一体となって積極的に考えていくべきである)
● スマートグリッド(多様な電力供給方法)のインフラ整備
● 各地域同士の送電網の強靭化
(例えば北海道で不足しても、他の地域からの融通が迅速にできるなど)
● 都市ガスの役割の再検討
(ガスは電力に比べて圧倒的にラインが少なく、代替エネルギーとして心もとない。また、震災後のライフラインの復旧も電力に比べて圧倒的に遅かった)



・・・エネルギー政策については一人一人が色々な所見をお持ちではないかと思います。上記の講演の要旨から何か自分にできることを考える一つの契機になって頂けると幸いです。