2011年6月27日月曜日

東京IPO異業種勉強会

6月24日に、東京でのIPO異業種勉強会が開催されました。

今回のテーマは会社法改正に係る議論について、昨年4月から行われている法制審議会会社法制部会にて議論されている内容についての解説と問題のディスカッションです。

まず会社法の改正について必要とされている背景は以下の通りです。
①粉飾事例を受けて、ガバナンスの徹底の必要性
②連結法制の進展
③海外からのプレッシャー
④労働界からの働きかけ

以上のバックグラウンドから主として以下の改正が検討されています。
1.監査役の権限強化
●代表取締役の選解任権付与
●従業員選任監査役の創設
●会計監査人の選解任権・報酬決定権の付与
2.取締役会の監督機能の強化
●社外取締役の選任の義務付け
3.多重代表訴訟
→親会社の株主が子会社の役員の訴訟提起、または子会社の株主が親会社の役員の訴訟提起
4.子会社少数株主の保護に関する検討事項
●親会社が子会社少数株主に損害を与えた場合の責任の取り方
●子会社少数株主にとって不本意な新規支配株主が現れた場合のセルアウト
など

勉強会においては特に監査役の在り方について激論に近いディスカッションが行われました。

しかし、従業員選任監査役って、労組の代表が取締役会に監査役の一員として入ることになるのですが、理解の上でのご判断かどうか、法制部会の方々のご意見を聞いてみたいです。

2011年6月18日土曜日

TOKYO AIMの夜明け

[東京 10日 ロイター]
東京証券取引所傘下でプロ向け市場のTOKYO AIM取引所は10日、バイオ企業のメビオファーム(東京都港区)の上場申請を受け付けたと発表した。AIMは2009年6月1日に創設されたが、これまで上場企業はなく、実現すれば第1号となる。上場日は7月15日の見通し。
シンガポールを拠点とするフィリップ証券を指定アドバイザー(J─NOMAD)とした。
メビオファームは2002年7月に設立。がん治療薬などを開発している。日本で開発した技術をもとに、米国など海外でも臨床試験や医薬品開発を展開。国内外からの資金調達により、今後の研究開発や海外事業を拡大したいという。
AIMはプロ向け市場として上場審査や情報開示の基準を緩和。指定アドバイザーであるJ─NOMADが事実上審査して引き受け上場させるだけでなく、上場後も情報開示などをサポートすることが求められている。証券会社は引き受けに慎重で、AIMは創設から2年、上場銘柄がゼロだった。
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TOKYO AIM取引所にようやくIPO第1号が誕生する模様です。

TOKYO AIM取引所とは、東京証券取引所とロンドン証券取引所が共同で設立した証券取引所で、2008年の金融商品取引法改正により導入された「プロ向け市場制度」に基づき設立されました。投資家がプロ投資家に限定されていることにより、開示義務など上場基準の緩和が行われ、既存市場よりも手続きが簡略化されています。上場申請から上場承認までの期間は原則10営業日で、我々会計士関連では、監査証明が必要な期間は最近1年間と短縮され、四半期・J-SOXは原則不要、中間と期末だけで良いこととなっています。

メビオファームのIPOに関する基本データをまとめるとざっと以下の通りです。
上場日: 2011年7月15日
事業内容: 独自のリポソーム技術を活用した医薬品開発
基準年度:2011年3月期
担当指定アドバイザー(J-Nomad):フィリップ証券
監査法人: トーマツ
株主名簿管理人: 三菱UFJ信託
新株発行(株主割当によらない特定投資家向け取得勧誘):750千株
想定発行価格 2,040円(発行価格総額 1,125,000千円)
上場時株数  3,578,000株
スケジュール:
①上場申請日:6月10日
②上場承認:6月24日(予定)
③仮条件決定:6月29日(予定)
④ブックビルティング:6月30日~7月6日(予定)
⑤引受価額決定:7月7日(予定)
⑥上場日:7月15日(予定)

なお、TOKYO AIMは、「プロ向け市場」ですので一般投資家は同社株式を購入できません。
(個人でのプロ投資家は、「3億円以上の金融資産及び純資産を持ち、金融商品について1年以上の経験を有する」方だけです。)

今回、J-Nomadがフィリップ証券という香港・シンガポールを中心に活動している金融グループの証券会社で、日本国内の機関投資家等の他に、海外の投資家に販売する予定とのことで、「シンガポールでは主にバイオ関係のファンドなど主に中長期の保有をいただける投資家にアプローチしていく」そうです。

設立以降2年間IPOがなかった同所ですが、これを契機に案件が増加していくことを祈っています。

但しAIMにIPOした会社は是非次のステージ(証券取引所)へのステップアップも目論んで、ファイナンスにより体力をつけて頑張って頂きたいと思います。
→ステップアップする会社が多ければ多いほど、逆にAIMというマーケットが「金の卵」を有する魅力的なマーケット、というレピュテーションを得ると考えています。

2011年6月14日火曜日

消費者金融は悪か?

(毎日新聞 6月14日配信)
廃業した貸金子会社から債権を譲渡された消費者金融「プロミス」(東京都)に、都内の債務者が子会社との間で生じた過払い金の返還を求めた訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は弁論期日を9月2日に指定した。債務者の請求を棄却した1、2審判決が見直され、プロミス側逆転敗訴の可能性が出てきた。

 1、2審判決によると、債務者は93年以降、子会社との間で借り入れと弁済を繰り返していたが、子会社が07年に廃業しプロミスが債権を引き継いだため、契約相手をプロミスに切り替えた。

 債務者は09年に提訴。1、2審判決は「債務者は契約を切り替える際、プロミスが子会社の一切の債務(過払い金など)について連帯責任を負うことに関し、具体的な意思表示をすることなく契約を結んだ」と債務者側敗訴の判決を言い渡していた。
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とかく消費者金融事業に対しては批判的な報道が多く、「過払いけしからん」という風潮が世論にもなっております。

しかしながら私は敢えてこれに対して真っ向から異なる意見を述べたいと思います。

消費者行動理論を考えたときに、買いたいものがありながら資金的余裕がないときに登場するのが金融です。しかし金融業とて収益事業、株主利益のために儲からなければいけません。

ときに金融業にとって掛かる経費・費用について考えてみてください。主要なものはざっと以下のものが考えられます。
① 借入金に対する支払利息
② 従業員の人件費
③ 債務者の破産等により回収不能となった債権の貸倒損失

金融業のうち銀行(信金・信組も含む、以下同じ)が低金利で貸し出せる理由は、③を極力出さないように、連帯保証だの、担保だの、信用調査だの、保証協会のお墨付きだの、これでもかというくらいのevidenceを掻き集めて初めて融資しているからです。

一方、利息制限法でとやかく言われる前の消費者金融事業は概ね25%前後の金利を取っており、銀行と比べたら明らかに著しく高金利なのは間違いありませんが、そもそも銀行ほどのevidenceを要求していないわけですから、同じ金融業でも貸倒も日常茶飯事のこととして受け止めなければならないセグメントに属します。

無人契約機などで頻繁に顧客拡大を図っていっていた当時なら、正直貸倒損失なんてどんどん増えていったはずですから、少なくとも彼らは20%台前半の利息を取らなければ、会社としては成り立っていないはずです。

従って、25%もの暴利を貪るような消費者金融はけしからん、と言うならば、貸倒リスクを銀行に転嫁できるのか?ということを先に考えるべきです。

平成16年の最高裁による過払い金の返還命令が出て以降、それまでグレーゾーン(利息制限法と出資法の間の金利)で融資していた消費者金融は、そのスパンで受け取っていた金利を返還する必要が出てきましたが、元々は債務者も合意して借りた筈の利息の条件であったはず。

このセグメントが消滅するときに、日本の金融に残るのは、銀行とヤミ金(勿論これは違法です)だけとなります。
それを承知でこの判決が出ていたり、立法が行われているのでしょうか?またマスコミはちゃんと承知して報道しているのでしょうか?

ちゃんと届け出をして仕事している消費者金融を目の敵にして叩き潰した後に、何が残るのかを考えてみましょう。「腎臓売れや」なんていった不法な回収方法は確かに過去に汚点として残っていますが、ここ10年の消費者金融の回収方法は基本的に事務的に粛々と行われ、無用なトラブルを会社から起こさないように心がけているように見えます。

第一、グレーゾーン金利が高い、というのなら、他に安く貸してくれるところを探せばよかったわけですよね?

過度な消費者保護の論調の後に、消費者金融側も事業として継続していくためにはevidenceを取らなくならねばなくなったのです。そうすると、これまで貸してくれたのに貸してくれなくなったという事態が多数生じます。消費者金融で貸してくれなければ銀行で貸すはずはありません。

銀行とて社会貢献の前に自行を守らなければいけない時代に、銀行が貸してくれない方々への融通を行う、ニッチを埋めるセグメントがあることの意義は重大だと思います。

一部の消費者金融、商工ローン事業者で刑法的な問題を起こしてきた人がいることは事実ですが、セグメントの意義と切り離して、社会的なアイデンティティを是非考えて頂きたいと思います。

2011年6月3日金曜日

革新的起業家とは?

昨日、慶応義塾大学藤沢キャンパス・藤沢イノベーションビレッジ(SFC-IV)の設立5周年セミナー「革新的起業家と革新的起業家支援に必要なものは何か?」というパネルディスカッションに参加しました。
(慶應義塾大学藤沢キャンパス)

コメンテータはi-modeのfounderのお一人である夏野剛先生(同大学特別招聘教授)、パネリストは面白法人カヤック柳澤CEO、㈱パンカク柳澤CEO、㈱ユーザーローカル伊藤CEO、㈱LoiLo杉山COOの4名の皆様。

元々、慶応が藤沢にアントレプレナーシップのサポートのために研究コンソーシアムを設け、企業プロジェクトを支援する体制については聞き及んでいましたが、昨日のパネリストの中で慶応ご出身の方は両柳澤CEO(読み方は’やぎさわ’と’やなぎさわ’で異なります)のお二人だけで、他の皆様は早稲田等他大学のご出身、そんな中でもアントレプレナーシップの支援のために尽力する慶応の懐の大きさに頭が下がります。
まずパネルディスカッションの前提として、彼らベンチャー起業家は、いずれはグローバル企業となることを目標としていることは共通の認識事項であり、目標とするマーケットがドメスティックのままではいずれシュリンクするということ。
一言にベンチャー、成長企業といってもやはりマーケットを伸ばしていかなければそのアイデンティティはありませんが、彼らのコメントとしてそれを聞けたのは私として溜飲が下がりました。

昨日のパネルディスカッションの中で思わず書き留めたパネリストの方々の発言を以下に紹介します。
【パネラーの皆様の会社が厳しい経済環境下、クライアント・収益を増加させ、USERから支持されている理由は?】
● 会社のビジネスに拘りを持ち、常に仮説を立て、検証の努力を怠らない。仮説の実行の結果上手くいかなかったら常に軌道修正を行える柔軟さを持つ。
● 自己満足のための商品開発ではなく、対価を払っている人の視点に立ってどういうサービスを提供するか&できるか?黙っていてもモノを作れば売る時代はとっくに終わっている。
● 消費者行動理論は常にリスペクトしなければならない。「必要なモノ」「手ごろな価格感」の商品・サービスはどの時代でも必要とされる。
● 既存の成熟マーケットへ進出・固執するような愚策は会社を成長させない。売上減少などダウンサイジング局面での「想定外」という言葉はアホな社長や総理大臣が使う言葉(過激だけどすごく納得です)

【起業家はエンジニアの方が多いが、マネジメント、ビジネスアドミニストレーションについてどう考えるか?】
● 会社を成長させる!という意欲がなければ、マネジメントについてリスペクトがなくても社員数名で食べていけるくらいの収入は稼げるが、それでは起業した意味がない。
● エンジニアは元々コンテンツの充実ばかりに注力する傾向が強く、マネジメントへのリスペクトがない会社は伸びない(成長しているエンジニアのCEOの方のコメント、重たいです)。
● マネジメントを頼れるCFOにかじ取りをお願いし、エンジニアとマネジメントのコラボレーションが潤滑な会社は、潤滑でない会社に比べて資金調達力は3倍強、破綻リスクは30%減という傾向がみられる。

【日本でfacebookなどのクリエイティブな商品が生まれないのは何故だと思うか?】
● 頭の中ではクリエイティブなモノが生まれてもそれを実現できるフィールドがシリコンバレーとは雲泥の差、クリエイティブな人間は日本に定着しない
● アメリカ国内のマーケットには、その先にinternationalがあるが、日本にはない~日本で成功して満足してストップする経営者が多い
● 投資家、金融機関含めて全員がぬるま湯に甘えている。VC、投資家はリスクマネーの正体をもう少し噛みしめるべき。→少なくとも他国の投資家は起業家の資金ニーズに弾力的ではあるが、その後のプレゼンや業績に対して非常に厳しい監視の目を光らせている。日本国内はカネを出す方に勉強の努力が足りない。
・・・資金提供側が起業家に対して「この事業は儲かるんですか?」というような質問は絶対にしてはならない。儲かる事業だったらとっくに別の起業家や既得権益者が進出しているはず。
1,450兆円の個人資金があるというのに何故日本人はベンチャーへのリスクマネーよりも東京電力の社債を選ぶのであろうか?(東京電力にもリスクがある、とやっと気がついたとは思うが)
ただ、その中に各ベンチャーに対するソムリエ、目利きの利く専門家が金融機関等に必要ではある。

【大学の教育の在り方と、起業家育成についての見解】
● 文系と理系、という日本の大学教育の分け方が起業家をダメにし、会社の成長を止めている。
日本企業のネックは
① 経営を分かっていないエンジニアCEOと
②メールを打てない既得権益の大企業・金融機関のトップマネジメント、
彼らの考え方を大転換させないと日本企業の成長は無い。
いわゆる文系センスと理系センスは、トップマネジメントは双方持ち合わせるべきであり、エンジニア志望者に対しても損益の感覚は身につけさせるべき。

【最後に、イノベーション(innovation)とは何か?】
● イノベーション=「誰もやっていないこと」+「社会を良くすること」
いわば世間的には変態というカテゴリーに分けられるかもしれないが、特異であることが重要。
● 誰もやったことがないことをやる、そしてそれを実現することで社会が進化する、それを起こすのが革新的起業家である!


以上、箇条書きに書きましたが、要は「日本はこのままではダメ」ということですね。

既得権益、労働利権、これらが蔓延り続けるその先にあるのは日本の縮小ということにそろそろ気が付かなければいけません。

だって、既得権益に胡坐をかいて起業家の進出を妨げている企業も、かつてはベンチャーだった筈です。
そういう会社の成長が日本の高度経済成長期を支えてきた筈です。
次世代が延びてこなければあの頃の経済成長の再現はあり得ません。

柵はぶち壊しましょう!30年後、50年後に日本を背負う子どもたちのために。
そして、リスクマネーについても勉強しましょう!10年後、20年後に日本を代表する会社が育ちやすくなるために。

その2つだけで何とかなるような気がします。しかし、それが難しいんですよね、ぬるま湯から飛び出ることを敬遠する日本人は多いですから。

とりあえず、経済成長に興味がない政権が引き続き首相官邸に居座るようですが、私は引き続き、革新的起業家を全力でサポートします。

但し甘い言葉だけではなく、ときには会社のことを想って、起業家にムチも振ります。10年後、20年後に日本を代表する会社になってもらうために。