(毎日新聞 6月14日配信)
廃業した貸金子会社から債権を譲渡された消費者金融「プロミス」(東京都)に、都内の債務者が子会社との間で生じた過払い金の返還を求めた訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は弁論期日を9月2日に指定した。債務者の請求を棄却した1、2審判決が見直され、プロミス側逆転敗訴の可能性が出てきた。
1、2審判決によると、債務者は93年以降、子会社との間で借り入れと弁済を繰り返していたが、子会社が07年に廃業しプロミスが債権を引き継いだため、契約相手をプロミスに切り替えた。
債務者は09年に提訴。1、2審判決は「債務者は契約を切り替える際、プロミスが子会社の一切の債務(過払い金など)について連帯責任を負うことに関し、具体的な意思表示をすることなく契約を結んだ」と債務者側敗訴の判決を言い渡していた。
---------------------------------------------------------------------
とかく消費者金融事業に対しては批判的な報道が多く、「過払いけしからん」という風潮が世論にもなっております。
しかしながら私は敢えてこれに対して真っ向から異なる意見を述べたいと思います。
消費者行動理論を考えたときに、買いたいものがありながら資金的余裕がないときに登場するのが金融です。しかし金融業とて収益事業、株主利益のために儲からなければいけません。
ときに金融業にとって掛かる経費・費用について考えてみてください。主要なものはざっと以下のものが考えられます。
① 借入金に対する支払利息
② 従業員の人件費
③ 債務者の破産等により回収不能となった債権の貸倒損失
金融業のうち銀行(信金・信組も含む、以下同じ)が低金利で貸し出せる理由は、③を極力出さないように、連帯保証だの、担保だの、信用調査だの、保証協会のお墨付きだの、これでもかというくらいのevidenceを掻き集めて初めて融資しているからです。
一方、利息制限法でとやかく言われる前の消費者金融事業は概ね25%前後の金利を取っており、銀行と比べたら明らかに著しく高金利なのは間違いありませんが、そもそも銀行ほどのevidenceを要求していないわけですから、同じ金融業でも貸倒も日常茶飯事のこととして受け止めなければならないセグメントに属します。
無人契約機などで頻繁に顧客拡大を図っていっていた当時なら、正直貸倒損失なんてどんどん増えていったはずですから、少なくとも彼らは20%台前半の利息を取らなければ、会社としては成り立っていないはずです。
従って、25%もの暴利を貪るような消費者金融はけしからん、と言うならば、貸倒リスクを銀行に転嫁できるのか?ということを先に考えるべきです。
平成16年の最高裁による過払い金の返還命令が出て以降、それまでグレーゾーン(利息制限法と出資法の間の金利)で融資していた消費者金融は、そのスパンで受け取っていた金利を返還する必要が出てきましたが、元々は債務者も合意して借りた筈の利息の条件であったはず。
このセグメントが消滅するときに、日本の金融に残るのは、銀行とヤミ金(勿論これは違法です)だけとなります。
それを承知でこの判決が出ていたり、立法が行われているのでしょうか?またマスコミはちゃんと承知して報道しているのでしょうか?
ちゃんと届け出をして仕事している消費者金融を目の敵にして叩き潰した後に、何が残るのかを考えてみましょう。「腎臓売れや」なんていった不法な回収方法は確かに過去に汚点として残っていますが、ここ10年の消費者金融の回収方法は基本的に事務的に粛々と行われ、無用なトラブルを会社から起こさないように心がけているように見えます。
第一、グレーゾーン金利が高い、というのなら、他に安く貸してくれるところを探せばよかったわけですよね?
過度な消費者保護の論調の後に、消費者金融側も事業として継続していくためにはevidenceを取らなくならねばなくなったのです。そうすると、これまで貸してくれたのに貸してくれなくなったという事態が多数生じます。消費者金融で貸してくれなければ銀行で貸すはずはありません。
銀行とて社会貢献の前に自行を守らなければいけない時代に、銀行が貸してくれない方々への融通を行う、ニッチを埋めるセグメントがあることの意義は重大だと思います。
一部の消費者金融、商工ローン事業者で刑法的な問題を起こしてきた人がいることは事実ですが、セグメントの意義と切り離して、社会的なアイデンティティを是非考えて頂きたいと思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿