2011年6月3日金曜日

革新的起業家とは?

昨日、慶応義塾大学藤沢キャンパス・藤沢イノベーションビレッジ(SFC-IV)の設立5周年セミナー「革新的起業家と革新的起業家支援に必要なものは何か?」というパネルディスカッションに参加しました。
(慶應義塾大学藤沢キャンパス)

コメンテータはi-modeのfounderのお一人である夏野剛先生(同大学特別招聘教授)、パネリストは面白法人カヤック柳澤CEO、㈱パンカク柳澤CEO、㈱ユーザーローカル伊藤CEO、㈱LoiLo杉山COOの4名の皆様。

元々、慶応が藤沢にアントレプレナーシップのサポートのために研究コンソーシアムを設け、企業プロジェクトを支援する体制については聞き及んでいましたが、昨日のパネリストの中で慶応ご出身の方は両柳澤CEO(読み方は’やぎさわ’と’やなぎさわ’で異なります)のお二人だけで、他の皆様は早稲田等他大学のご出身、そんな中でもアントレプレナーシップの支援のために尽力する慶応の懐の大きさに頭が下がります。
まずパネルディスカッションの前提として、彼らベンチャー起業家は、いずれはグローバル企業となることを目標としていることは共通の認識事項であり、目標とするマーケットがドメスティックのままではいずれシュリンクするということ。
一言にベンチャー、成長企業といってもやはりマーケットを伸ばしていかなければそのアイデンティティはありませんが、彼らのコメントとしてそれを聞けたのは私として溜飲が下がりました。

昨日のパネルディスカッションの中で思わず書き留めたパネリストの方々の発言を以下に紹介します。
【パネラーの皆様の会社が厳しい経済環境下、クライアント・収益を増加させ、USERから支持されている理由は?】
● 会社のビジネスに拘りを持ち、常に仮説を立て、検証の努力を怠らない。仮説の実行の結果上手くいかなかったら常に軌道修正を行える柔軟さを持つ。
● 自己満足のための商品開発ではなく、対価を払っている人の視点に立ってどういうサービスを提供するか&できるか?黙っていてもモノを作れば売る時代はとっくに終わっている。
● 消費者行動理論は常にリスペクトしなければならない。「必要なモノ」「手ごろな価格感」の商品・サービスはどの時代でも必要とされる。
● 既存の成熟マーケットへ進出・固執するような愚策は会社を成長させない。売上減少などダウンサイジング局面での「想定外」という言葉はアホな社長や総理大臣が使う言葉(過激だけどすごく納得です)

【起業家はエンジニアの方が多いが、マネジメント、ビジネスアドミニストレーションについてどう考えるか?】
● 会社を成長させる!という意欲がなければ、マネジメントについてリスペクトがなくても社員数名で食べていけるくらいの収入は稼げるが、それでは起業した意味がない。
● エンジニアは元々コンテンツの充実ばかりに注力する傾向が強く、マネジメントへのリスペクトがない会社は伸びない(成長しているエンジニアのCEOの方のコメント、重たいです)。
● マネジメントを頼れるCFOにかじ取りをお願いし、エンジニアとマネジメントのコラボレーションが潤滑な会社は、潤滑でない会社に比べて資金調達力は3倍強、破綻リスクは30%減という傾向がみられる。

【日本でfacebookなどのクリエイティブな商品が生まれないのは何故だと思うか?】
● 頭の中ではクリエイティブなモノが生まれてもそれを実現できるフィールドがシリコンバレーとは雲泥の差、クリエイティブな人間は日本に定着しない
● アメリカ国内のマーケットには、その先にinternationalがあるが、日本にはない~日本で成功して満足してストップする経営者が多い
● 投資家、金融機関含めて全員がぬるま湯に甘えている。VC、投資家はリスクマネーの正体をもう少し噛みしめるべき。→少なくとも他国の投資家は起業家の資金ニーズに弾力的ではあるが、その後のプレゼンや業績に対して非常に厳しい監視の目を光らせている。日本国内はカネを出す方に勉強の努力が足りない。
・・・資金提供側が起業家に対して「この事業は儲かるんですか?」というような質問は絶対にしてはならない。儲かる事業だったらとっくに別の起業家や既得権益者が進出しているはず。
1,450兆円の個人資金があるというのに何故日本人はベンチャーへのリスクマネーよりも東京電力の社債を選ぶのであろうか?(東京電力にもリスクがある、とやっと気がついたとは思うが)
ただ、その中に各ベンチャーに対するソムリエ、目利きの利く専門家が金融機関等に必要ではある。

【大学の教育の在り方と、起業家育成についての見解】
● 文系と理系、という日本の大学教育の分け方が起業家をダメにし、会社の成長を止めている。
日本企業のネックは
① 経営を分かっていないエンジニアCEOと
②メールを打てない既得権益の大企業・金融機関のトップマネジメント、
彼らの考え方を大転換させないと日本企業の成長は無い。
いわゆる文系センスと理系センスは、トップマネジメントは双方持ち合わせるべきであり、エンジニア志望者に対しても損益の感覚は身につけさせるべき。

【最後に、イノベーション(innovation)とは何か?】
● イノベーション=「誰もやっていないこと」+「社会を良くすること」
いわば世間的には変態というカテゴリーに分けられるかもしれないが、特異であることが重要。
● 誰もやったことがないことをやる、そしてそれを実現することで社会が進化する、それを起こすのが革新的起業家である!


以上、箇条書きに書きましたが、要は「日本はこのままではダメ」ということですね。

既得権益、労働利権、これらが蔓延り続けるその先にあるのは日本の縮小ということにそろそろ気が付かなければいけません。

だって、既得権益に胡坐をかいて起業家の進出を妨げている企業も、かつてはベンチャーだった筈です。
そういう会社の成長が日本の高度経済成長期を支えてきた筈です。
次世代が延びてこなければあの頃の経済成長の再現はあり得ません。

柵はぶち壊しましょう!30年後、50年後に日本を背負う子どもたちのために。
そして、リスクマネーについても勉強しましょう!10年後、20年後に日本を代表する会社が育ちやすくなるために。

その2つだけで何とかなるような気がします。しかし、それが難しいんですよね、ぬるま湯から飛び出ることを敬遠する日本人は多いですから。

とりあえず、経済成長に興味がない政権が引き続き首相官邸に居座るようですが、私は引き続き、革新的起業家を全力でサポートします。

但し甘い言葉だけではなく、ときには会社のことを想って、起業家にムチも振ります。10年後、20年後に日本を代表する会社になってもらうために。

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